大学生 レポートの書き方 「最高級の歯ブラシ 一本7000円の歯ブラシはなぜ売れるのか」

起 はじめに
 私は最近不満なことがある。「近くて便利」「あなたとコンビに」「驚安の殿堂」の影響で、私たちの生活、消費行動はコントロールされているのではないであろうか。圧倒的な低価格商品や、すぐに手に入るものを買わざるを得ない私たちは、自分の意志でモノを購入できているか。企業は本当に顧客のための商品を提供できているといえるのであろうか。これは、過剰なペネトレーションプライシングを行う企業の責任である。このようなビジネスモデルに不満がある私が取り上げる企業は、「株式会社グレーアンドネイビー」である。「顧客は、モノを値段ではなく価値で選ぶべきである」と考える私にとって、この企業の強いコンセプトを貫いたビジネスモデルに大変興味を持っている。モノのサービス化により、高い付加価値が求められる現代に対し、この企業では、消耗品に対する高価付加価値を行っている。独創性が高く、オンリーワンのプロダクトを提供するビジネスモデルではあるが、このようなコンセプトに顧客はついてこられるのだろうか。実際になぜこのようなプロダクトでビジネスが成り立つのであろうか。このような疑問を軸とし、レポートを作成していく。

承 本論
1.株式会社グレーアンドネイビー
株式会社グレーアンドネイビーは、代表取締役中村友憲を中心に、何気ない日常生活をワクワクさせることをミッションとし、2014年に会社設立。渋谷にオフィスを構えるベンチャー企業である。どこよりも強い思いと強いコンセプトを持った新しい挑戦を行っている。特に力を注いでいる事業は、2016年設立の歯ブラシブランド「BYTAPS」である。「世界一の歯磨き時間」をコンセプトに、一本6,900円の歯ブラシを販売している。このようなスキミングプライシングでプロダクトを販売するには、ただスーパーに並べていても売れるはずがない。私はグレイアンドネイビー社を訪問する機会があったため、代表取締役中村さんのお話を伺いつつ、考察をする。

2.2オペレーション
BYTAPSの販売方法では、ブランド価値を下げないために細心の注意を払っているという。主な販売方法は大きく2つ。1つ目は「三越」や「高島屋」といった高級百貨店への卸売り。2つ目は公式ホームページを経由したEC販売である。販売場所を丁寧に厳選し、商品価値を守っている。公式ホームページでは、作成工程のプロモーションビデオを公開しており、1本1本を丁寧に作る職人の姿をアピールしている。BYTAPSは実店舗を持たないことで固定費を大幅にカット。その代わりに、「ブランド価値創造」に投資をしているのである。ところが、厳選した販売方法や、実店舗を持たないことによるデメリットもある。市場が狭く、顧客との接点が少ないことが大きな課題である。BYTAPSの中村さんによると、「今後はAmazonでの販売も慎重に検討しており、市場拡大を狙っている」と、新たな施策を検討中であると語っていた。

2.3儲けのしくみ
 この歯ブラシ最大の特徴は、ハンドル部分とブラシ部分が分割できる独自設計である。ブラシ部分は交換可能であり、「ブラシカートリッジ定期購入システム」が用意されている。ブラシカートリッジは30日間隔で自宅のポストまで届き、届いた日に交換することを続けるだけで、正しいブラシ交換が無意識のうちに習慣づけられていく、という仕組みになっている。また、BYTAPSは、「健康な歯の一番の喜びは、食を自分の歯で楽しむことである」と考え、カートリッジと共に「食」に関する写真集を無料で送付するキャンペーンも実施している。価格は、ハンドルが 5,800 円(税別)、ブラシが30日おきの配送で1回 480 円(税別)である。
     

つまり、一度BYTAPSを購入、もしくは、プレゼントされた場合、BYTAPUSから部品を定期購入せざるを得ない仕組みになっているのである。この仕組みを活用し、2017年、BYTAPSは「クラシエフーズ」とタイアップを行い、「抽選で1,000名様に「 FRISK × BYTAPS イキな歯ブラシ」プレゼントキャンペーン」を実施。これを機に、ブラシカートリッジ定期購入を開始せざるを得なかった顧客も多くいるのではないだろうか。

 結 おわりに
 BYTAPSは、ハンドル部分とブラシ部分が分割できるといった独自設計により、自らオンリーワンを創造し、新たな商品価値を生み出している。さらに、「歯の健康のための正しいブラシ交換」といった+αの商品価値の根拠によって定期購入をうまく促し、顧客を満足させる仕組みを提供している。今までにこのような仕組みがなかったため、さらに、価格設定を自由に提案することができることも新事業の強みである。また、顧客にとって、「歯ブラシ」へのこだわりがあまり浸透していないことも重要である。人と直接触れ合う日用品は、今後の様々な分野でのIT化やIOTの進化にも負けない、新たな市場になるのではないかと考えた。競合となる大手高級歯ブラシメーカーがまだ存在しないからこそ若手メーカーが輝けるチャンスがあるのである。このような歯ブラシという既存のプロダクトに対し、新たな付加価値を創造することは今後期待されるイノベーションを経た現代的なビジネスモデルである。高価付加価値型のビジネスモデルを実現するためには、モノの性能だけではなく、モノに対するストーリーや、作り手の思いを顧客に伝える必要がある。つまり、「情報」自体が商品価値を向上させるのである。そのため、グレーアンドネイビーでは歯ブラシ一本のためにプロモーションビデオを作製。ホームページではBYTAPSのコンセプトを何度も記載し、この商品を通して「世界一の歯磨き時間が提供できる」ということを伝えている。BYTAPSは歯ブラシを販売することを通して「幸福な歯磨き時間」というストーリーを、消費者に提供しているのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〖参考文献〗
【1】BYTAPS 公式ホームページ
https://www.bytaps.co
【2】(2017.11.15)株式会社グレーアンドネイビー
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/13717
【3】(2017.11.14)グレーアンドネイビー プレリリース情報
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000013717.html
【4】(2017.7.19)株式会社グレーアンドネイビー会社情報
https://www.wantedly.com/companies/company_7381261

 

 

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