大学生 レポートの書き方 ブランドってどうしてワクワクするの?

 私が儲けのしくみの授業で特に興味を持った学習項目は、価格戦略の一つである「スキミング・プライシング(効果付加価値型)」である。私は、「CHANEL」や「GUCCI」のような圧倒的なブランド力にとても魅力を感じる。持っているだけで優越感を感じ、特別な気持ちになる。しかし、よく考えてみれば世の中にはずっと安くて性能のいいもの、「コストパフォーマンスの良いもの」であふれているはずである。もっと言ってしまえば、大手ブランド市場では「パクリ商品市場」も珍しいものではない。なぜ世の中の「スキミング・プライシング」は「ペネトレーションプライシング」のような低価格商品に負けないのであろうか。
私は高校時代、初めてのアルバイトの給料で高級傘ブランド「フルトンのビニール傘」を購入した。一本7000円もするその傘はまさに「スキミング・プライシング」である。コンビニに行けば、500円で購入できるビニール傘を15倍近くのお金を払って購入したのである。しかし私は大満足であり、今も愛用している。後悔もしていない。実は2本目の購入さえも考えている。いったいなぜこのような価格戦略が成り立ち、私のような顧客は満足するのであろうか。また、スキミングとは「すくいとる」という意味であるが、どのような顧客がすくいとられているのであろうか。
(2) 本論
 「フルトンのビニール傘」のようなとんでもない付加価値を可能にするには3つの理由がある。1つ目は「機能的価値」である。その製品自体の機能、品質、作り上げた価値である。2つ目は「感情的価値」である。製品を作り上げるための「ストーリー」「コンセプト」「ブランドの世界観」が含まれる。3つ目は「自己表現的価値」である。これは「作り手の思い」「作業工程」などの経営者が世の中に表現したい「強い思い」が求められる。
これらの高価付加価値の条件を私が購入した高級傘ブランド「フルトン」に当てはめて考えてみる。
FULTON Birdcage 3つの付加価値要素
機能的価値 ・UVカット加工
・耐風、軽量なファイバーグラス素材
・「エリザベス女王御用達」「ロイヤル・ワラント
感情的価値 ・高級感のあるロゴマーク
     
・FULTONの象徴となるバードゲージのシルエット
自己表現的価値 【目指す企業像】
・「伝統と革新による製品開発」
・「他に類を見ない価値の形成」

このようなブランド独自の魅力が、提供される「付加価値」となり、ニーズと合致した顧客は「すくいとられる」のである。どうやら「スキミング・プライシング」である製品と「ペネトレーション・プライシング」である製品とでは、まったく別の需要があるようだ。ペネトレーション・プライシングが「低コスト」を提供しているのであるとすれば、スキミング・プライシングは「コンセプト」を提供しているのではないかと考えた。
コンセプトとは、その企業や製品が掲げる世界観である。この世界観を守りきり、こだわりぬかれた事業が顧客への魅力、ニーズになっているのではないだろうか。では、なぜ私たちはこのような事例に魅力を感じ、高いお金を払ってまで購入してしまうのであろうか。
 それには二つの理由があると考えた。一つ目の理由は高付加価値を認めている顧客は、お金を払うことで「個性」を買っているのではないであろうか。という考えである。
マズローの五段階欲求で再頂点に君臨しているのが「自己実現欲求」である。モノにあふれ、不自由のない暮らしを送ることのできる人々は、「生理的欲求」「安全安定の欲求」のような一次的欲求は満たされているため、新たな欲求が芽生える。「こんな人間になりたい」「こんな自分を表現したい」といった「承認と自尊の欲求」である。このようなニーズを満たすのが、数々のブランドの「コンセプト」である。ブランドと顧客のコンセプトの合致が高価付加価値を成立させ、顧客にとっての「ステータス」になると考えた。GUCCICHANELのようなハイブランドの魅力は、顧客に「お金を払ってでも自己実現には欠かせない投資である」と思わせるようなコンセプトを持っているのである。

二つ目の理由は、そのプロダクトが持つ「ストーリーの価値」への付加価値だ。

 

 

 上期の例文で、人々の多くは、②の林檎に強い興味を持つのではないであろうか。モノにストーリーを持たせることは、モノの希少価値を高めるため、他製品との差別化、付加価値を生み出すのに最適な手段である。CHANELの香水が今も愛され続ける背景には、「マリリンモンローご愛用」というストーリーがあり、希少価値となっているのである。

(3) 結論
 高価付加価値戦略である「スキミング・プライシング」が成り立つには大きな理由があった。それは、「スキミング・プライシング」の製品と、「ペネトレーション・プライシング」の製品とでは全く別の需要で、提供している「価値」そのものが大きく異なっている。とにかく「低価格」が求められるペネトレーション・プライシングは、圧倒的な「コストパフォーマンス」を顧客に提供している。それに対し、スキミング・プライシングは、製品のストーリー性、顧客とブランドのコンセプトの合致が、「自己表現ニーズ」を満たすことで付加価値が生み出されるのである。
(4) 最後に
ハイブランドの高価付加価値は、製品のコンセプトを通して「顧客の自己実現欲求」「顧客のステータス」そして「ブランドの掲げる世界観」を提供しているのである。ものにあふれ、どんなものでも簡単に手に入るこれからの時代、ブランド立ち上げや、プロダクトの作成には、作り手の理想世界に沿ったコンセプト、魅力的なストーリーが必要であり、重要なポイントとなります。競合の多い「高価付加価値」の市場で勝ち残るためには、企業や作成者の「コンセプト」「理想世界」を、世界中の人に伝えたいという誰よりも強い気持ちが必要であるのではないかと考えた。また、インターネットや、文化の多様化により、これからの時代はこのような需要の変動は多いと考えられるが、新たな付加価値、需要は何か。これからも調べ続けてきたいと思う。

 

 

 

 

 

引用資料
・宮田匠「ひらめきEXマズローの欲求五段階説」(2018/08/04)より画像引用https://www.kikakulabo.com/topic-m5/
・中江翔吾「ブランディング戦略 NAKAE SHOUGO」(2018/10/09)より一部引用https://nakaeshogo.com/added-value/